MちゃんとS上司の恋模様
(もしかして、私に興味があるとか?)
思わず頭に浮かんだ言葉を慌てて打ち消す。ないない、それはない。絶対にない。
何を考えついてしまったのか、私ったら。
そんな考えが思い浮かんでしまうことが恥ずかしくて、顔が熱くなる。
とにかく、だ。そんな訳が分からないS属性だと思われる上司を、なんとしてでも上手くあしらいたい。
それには同じS属性に絡まれてしまった典子ちゃんを頼るしかほかない。
典子ちゃんなら、私を救ってくれるアドバイスをくれるかもしれないのだ。
なんと言っても、あのドS兄を骨抜きにしてしまった典子ちゃんである。
きっと秘策があるに違いない。
目を輝かせて彼女を見つめたのだが、「えっと……」と呟いて典子ちゃんは戸惑っている様子だ。
典子ちゃんは困ったように眉を下げたあと、言いづらそうにおずおずと口を開いた。
「私と付き合うようになってからは、私に対してSっぽいことをしなくなりましたよ?」
「え……? 嘘だ!」