MちゃんとS上司の恋模様



「あーあ。結局、須賀主任対策はできそうにないなぁ」

 大きくため息をつきながら、ソファーの背もたれに身体を預ける。
 すると、お兄ちゃんはクスクスと笑いながら、私の肩をポンと叩いてきた。

「その男が真琴を変えてくれる……かもな?」
「変えるって? 主任と同じS属性になるってこと!?」

 それは勘弁していただきたい。
 恐ろしい未来を予想し、私は青ざめて首を激しく横に振る。

 それとも、ドSに調教されてドMになれということなのだろうか。
 どちらにしても御免被りたい。

 私は平々凡々な毎日を静かに暮らしたいのだ。
 いつか穏やかな愛で包み込んでくれる男性と巡りあって、恋をする。
 そして家庭を持って、ごく普通の暮らしがしたい。

 平均がいい。普通が丁度良い。私は声を大にして叫んだ。
 するとお兄ちゃんは声を出して笑い出す。

「!」

 え、どういうことですか。ポケッと口を開けて二人を見つめていると、お兄ちゃんは肩を震わせて再び笑った。

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