MちゃんとS上司の恋模様
「それは無理だと思うけど?」
「なによ、それ! 酷くない? お兄ちゃん!」
目をつり上げて怒ると、お兄ちゃんはフフッと意味深に笑う。
「気がついていないかもだけど、真琴ってS属性ホイホイなんだよね」
「なに……それ」
何だか不穏な響きだ。嫌な予感がする。
顔を歪めて訝しげにする私に対し、お兄ちゃんは容赦ない。
そういうところがクールドS の称号を欲しいままにしているのだと思う。
ますます顔を歪めていると、お兄ちゃんは楽しげにほほ笑んだ。
「真琴に近づいてくる男ってさ。今までSっ気があるヤツらばかりだっただろう?」
「うっ……!」
「お前の女友達にしてみたって、ドSばっかりな気がするけどな」
「……」
反論できない。お兄ちゃんの言っていることは本当だ。
なぜか私を好きになってくれる男性は、S属性の人が多い傾向がある。
そしてそんな男は身近にいるお兄ちゃんだけで充分、とはねつけていたのだ。
だからこそ、私はこの歳にして恋愛というものをまともにしたことがないのである。
そして、それは女性陣にもいえることで、私の友人はSっ気が強い子が多いのも事実だ。
言い当てられて何も言えないでいると、お兄ちゃんはもう一度私の肩をポンポンと二度叩いた。