不器用な彼女
「うん、私酔っ払ってますね!」

「飲みすぎだ、全く」

失態を晒すことなく式場を後にするも車が動き出した途端に緊張の糸が切れたのか、詩織は酔っ払いに変貌する。

「社長…鼻の下伸びてた」

「んなことねーだろ」

「嘘!お姉さん方、皆んな可愛かった!肩に手を置かれてた!顔近かった!」

「あー、はいはい」

社長は酔っ払いを適当にあしらい前を見たままハンドルを握ってる。

「社長はさ、無駄に色気あってさ、女の子寄ってきちゃうしさ、何かヤダ。みーんな目がハートになってんの!社長だって嬉しそうだった!」

詩織は頬を膨らませ、口を尖らせ抗議する。
他の女と楽しそうだったのが面白くない。

「酔っ払いは寝てろ!」

「ヤダ!」

「うるせぇな、俺はどうすれば良かったんだよ?!」

「ウゥッ…社長はモテるから……グスッ…」

怒ったと思ったら今度は泣きだす詩織に社長は呆れ顔だ。

「怒ったり泣いたり忙しいな。


ま、盛大なヤキモチをありがとう

…お前、お酒入ると素直で可愛いのにな。

…前も言ったけど、俺はお前が思ってる以上にお前が好きだし…お前はまだ若いから結婚とかも考えられないのかもしれないけど…

俺は…お前と結婚したいと思ってるし…子供だって出来ても構わないと思ってるからいつも避妊しないし…」

「グゥ…」

「おいっ!」

色々突っ込みたくなる。叩き起こしてやりたい。
社長の話をどこまで聞いていたのか…詩織は深い眠りに落ちていた。

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