不器用な彼女
「詩織先輩、彼氏居ないって言ってたし、お似合いですよね!社長もそう思いません?」

「いや…あの…私…」

「へー。お前彼氏居ないんだっけ?」

トゲのある言い方…。社長だって「彼女いる」って「詩織と付き合ってる」って前みたいに宣言してくれないじゃん? どうして私だけが責められるような言い方をされなきゃならないの?!

(なんか…面白くない)



時計の針が17時半を指し、壁に掛けられてる時計が短いメロディーを奏でる。




「社長、今日は残業なしで詩織を連れて行ってもいいですか?」

「いや、私の、仕事がまだ…」

「いや、帰って良いぞ」


社長は詩織の方を少しも見ずに、デスクの引き出しを音を立てて閉めた。


「 詩織、行こうぜ」

この男は詩織の意見や都合ってものを確認する気がないのか?

「詩織は俺のだから」とか堂々の宣言を期待して社長を見るも社長は不機嫌そうにパソコンをみてる。せめて「仕事があるから」と佐原を追い返して欲しいのに。

「社長!私も社長とゴハン行きたいですぅ」と甘える茉由に社長は「そだな、良いよ」なんて言ってる。

(何言ってんの?佐原くんは元彼だよ?!
私が男の人と二人でご飯に行くの、嫌じゃないの?!)


社長の発言に腹が立ち、「じゃあ、佐原くん行きましょうか?」なんて、詩織も意地になって社長を振り返る事なく事務所を後にした。





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