不器用な彼女
（本当に誰も居ないし）

事務所はちゃんと戸締りされている。
いつも居るはずの詩織が居ない。

毎朝詩織が淹れてくれるコーヒーのポットは保温されたままで、煮詰まったような濃いコーヒーの匂いが事務所に漂っている。

朝起きて、寝坊に気付き直ぐに詩織に連絡しようとしたが携帯が壊れていて電話帳すら見られず。。。急いで履歴書を綴じてあるファイルを探す。

番号を確認し、外線ボタンを押す。

途中まで打ったところで、別の回線の電話が鳴った。

「詩織か？…あ、おはようございます」

電話の相手は詩織ではなく現場の職人だ。

現場の確認をされ指示を出す。
携帯が壊れてしまった事を伝え「後から行く」と伝えて電話を切った。

詩織に電話したいのに、他の外線に何度も邪魔をされる。


やっと詩織に電話しても、繋がったのは留守番電話だった。

「俺だ。携帯壊れた。今会社にいる。携帯繋がったらまた連絡する」



そして携帯ショップに向かった。


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