不器用な彼女
「で、詩織はどうするの?」

「産もうと思ってる」

「一人で…育てていける?」

「ん…不安しかないけど…失いたくないって思った。親にもこれから相談しようと思うし、実家に帰ったら何とかなるかなって…甘えなんだけど」

「私…許せない」

「私だって!…でも…それでも好きって思っちゃう」

「バカ!」

「うん、バカって分かってる!」

悩んでいるのも、泣きたいのも詩織なのに、目の前の尚美が号泣している。




「とりあえず…時間無くなっちゃうから…荷物、お願いして良い??? 話はまた後でね」

尚美に自宅の鍵を渡した。

< 183 / 203 >

この作品をシェア

pagetop