不器用な彼女
「色々…すっ飛ばしたから…お義母さんに悪い事したな…」

「うん…あの時の驚きようったら…泡吹いて倒れちゃうかと思いましたよ。お父さんも固まってたし…」

「名誉挽回しないとな」

「えっ?」

「“娘をこの男にやって良かった”って思わせないと」

「社長…」

「呼び方、社長じゃなくて恭介だろ?」


“恭介さん”と呼ぶ練習中だ。


「恭介さん、私は幸せですよ」

「俺も」

顔を見合わせてそっと唇を重ねる。


「うっ!!!!」

「どした?」

「赤ちゃん店背中に回ったかと思うくらい暴れた!グルン!って!」

「娘、ヤキモチかな?パパっ子になるかも」

恭介は詩織のお腹に手を当てて「また動いた!」って嬉しそうだ。

「子供の名前、どうしようか?」とか、 服も買いに行かなくちゃとか、まだ産まれてもな居ないのに「彼氏が出来たら…」なんて真剣に考えてる様子だ。
チョッピリ嫉妬しちゃう。


「恭介さん、娘ばっかり可愛がっては嫌ですよ。…その…私も構って欲しいです!」

「バカだな、当たり前だろ?」

またバカって言う。
でも、愛情ある『ばか』が嬉しかったりもする。





「失礼します。そろそろお時間です」


いよいよだ。


今日、私は愛する人と夫婦になります。

健やかなる時も病める時も、恭介さんと一緒に歩んでいく事を誓います。


終。




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