不器用な彼女
「ねぇ、これ見て」

尚美がスマホを指差す。

「この店、行ってみたくない?会社の人が教えてくれたんだけど」

画面には“shot BAR 神楽”のクチコミサイトが表示されている。

「星4.5って…どんなものか行ってみたくない?」

「…ここ、社長に連れて行って貰ったお店」

「えー!社長に会えるかもよ?行ってみない?」

「ん、今度にしようよ…会ったら…気まずいし」

「気まずい事なんて何にもないじゃん!“あら、お疲れ様です”ってだけの話でしょ!愛しの社長を見てみたいし〜」

「愛しの社長なんて言ったことないじゃん!」

「意地っ張りの鈍感!」

尚美はチラッと腕時計に視線を落とすとそこからの行動力が凄かった。

「今!行くのは今でしょ!」

「えっ?」

「まだ10時前だし!ここから近いし!行くよ!

すいませーん!お会計ー!」

焼き鳥屋に入って1時間も経っていないのにさっさと会計を済ませた。
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