不器用な彼女
(……終わった)
凝り固まった体を目一杯伸ばす。
時刻は21時を過ぎたところ。
社長に書類をチェックしてもらい、友人が待つ居酒屋に早く行かねば!
「社長、おわ…」
声をかけようとしたが社長のデスクは空だ。
(あれ?)
いつのまにか仕事に集中していたようで、社長が席を外したのも気付かなかった。トイレか、もしくは喫煙か…社長の姿は見当たらず。
待っている方が良いに決まってる。でも社長が居ないんだから仕方がない。
帰るところで来客用ソファーで寝息を立てる社長を見つけた。