不器用な彼女
「服を変えても、髪型変えてもダメみたい…」

「敵は手強いな…」

尚美コーディネートのレベル2、レベル3と露出を増やしてみても社長はいつも通りだった。

「レベル4、いってみる?」

「会社だもん、3が限界でしょーよ!」

駅近の居酒屋チェーン店で愚痴をこぼす。

「もうさ、“ご飯行きましょう”とか“週末の予定はありますか?”とか言ってみなよ。なんか、本当に付き合ってんの?って感じ!」

「うん…自信なくなってきた。

…両想いは私の妄想な気がしてきたわ」

「それはイタすぎる」

乙女の努力は報われず…。


今日は金曜日。

世の恋人達はデートを楽しんだり、甘い夜を過ごしたりしているんだろう。
居酒屋はカップルやグループで賑わい、女二人暗く飲んでいるのは詩織達くらいだった。

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