不器用な彼女
「詩織、携帯鳴ってる」


画面には『社長』と表示されている。

「やだ!社長だ!」

「嬉しい癖に!…ほらほら!
デートのお誘いかもよ?」

詩織は慌てて電話に出る。

「もしもし!」

『あ、お疲れ。今大丈夫?家か?』

社長の声を聞くだけで胸が熱くなる。



「家じゃないですけど…尚美と飲んでいて…でもすぐ帰ります!帰れます!どうかしましたか?」

まだまだ飲みたい尚美は“裏切り者!”とテーブル下で詩織の足を踏む。


「今から会えるか?」とか「明日会えるか?」とかそんな言葉を期待する。


『月曜日、現場直行する事になったから宜しく。あと、木村が月曜から仕事に来るから。それだけ言っとこうと思って』
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