不器用な彼女
社長は仕事の連絡事項を伝えると「じゃあな」と電話を切った。


「何だか腹が立ってきた」と口を尖らず詩織に尚美は笑っている。

「笑い事じゃないよ!」

「ゴメン、ゴメン!
…でもさ、両想いになったのに、その、何にもない事にモヤモヤしてる詩織がカワイーわ!

本当はイチャイチャしたり、キスしたり、エッチしたいって事でしょ?

詩織は実はカマチョなんだね〜❤︎」

「やめて!
てか、“カマチョ”って何よ?」

「“構って頂戴”の略。カマチョ詩織!」

「女子プロレスラーみたいな名前やめてよ!」

しばらく尚美にいじられて、楽しいのに悲しくなってくる。
本当に全く構ってもらってない!




「明日、神楽に行ってみる?あそこ、ご飯も美味しいって。

ほら、社長とカツミさん仲良いんでしょ? 色々聞けるかもよ?明日は早番だから夕方からなら付き合うよ?」

持つべきものは友だと思った。









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