不器用な彼女
「ご馳走さまでした」
「美味しかった〜」

詩織も尚美も大満足だ。

赤魚の煮付けに根菜の煮物、山菜の天ぷらに酢の物、サラダとご飯に味噌汁と味も量も彩りも素晴らしかった。

美味しかったと褒められたのが嬉しかったのか「本当は小料理屋をやりたかったんだけどね、アタシこんなんだから飲み屋がメインになっちゃったの」なんてカツミは笑っている。


「今日は何しに来たの? ご飯だけが目的じゃないでしょう?
ほら、まだ暇な時間帯なんだから今のうちに聞いて頂戴」

カツミは何でもお見通しのようだ。

「ほら、自分で言いなさいよ」と尚美が詩織を促した。

「社長と…お付き合いしています」

「うん、恭介から聞いてるわよ?良かったじゃない、おめでとう!って思ってるわよ〜❤︎

…あいつ、私より詩織チャンを選んだのよっ!男は若い方が好きなのよっ!」

なんてカラカラと笑ってる。

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