不器用な彼女

モヤモヤ再び

「参ったな」と頭を掻く社長。少し照れたような顔してる。

「ウチ来るか?」

さっきカツミに言われた“やる事やっちゃいな!”を思い出し急に恥ずかしくなる。


「嫌なら良いけど?」

「…嫌じゃない!でも今日は…」

「何だよ。構って欲しかったんじゃねーの?」

「……そんなこと」

「俺は……構いたかったけど?」



社長は詩織の腕をパッと取ると自宅に向かって歩き出した。



社長の家に来るのは二度目だ。

白を基調とした内装で意外にも綺麗にされている。社長らしくとてもセンスの良い部屋なのに、リビングのテレビボードの横に何とも趣味の悪い壺があった。この壺が無ければ良いのにと少し壺の事を残念に思う。


「座ったら?」

「あの、家の人は…」

「あ、俺一人暮らし」

ドキドキしちゃって社長の顔が見れないし、どこに座って良いかも分からない。

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