不器用な彼女
楽しい時間
仕事を終わらせたんだからさっさと帰ろう。駅前にあるちょっと大人な感じのBARに行ってみたいんだから。
「櫻井、少し、時間あるか?」
「えっ?」
今から説教タイムをする気じゃないだろうね?
「予定あるのか? 飲みに連れてってやるよ」
何とも偉そうだ。でも、社長に誘われるなんて滅多にないし、誕生日なのに一人なのも寂しいし、こうなったら美味しいお酒をご馳走になってやろうじゃないか!
ても、二人きりなんて初めてで、行くべきか行かないべきか返事に迷う。
「ほら、行くぞ。先に車で待ってて」
詩織の返事を待たず、社長は車の鍵を渡すと奥の部屋に入っていった。