不器用な彼女
“ごめん、寝ちまった。疲れていたとは言え、悪い事をした。無事帰ったのか?また週末来れる?”

詩織に送ったライン。
しばらくして既読はついたものの返事はない。
電話しても詩織が電話に出る事は無かった。


(そんなに怒る事かよ!)


椎名も自分が悪いと思いながらも詩織に対して苛立ちもあった。
自分が仕事を大事にするのはもちろん仕事が好きと言う理由もあるが、抱えてる社員の生活にも責任があるからだ。

“私と仕事、どっちが大事なの?!”
“…貴方は仕事ばっかりで…私、寂しくて…”
“私の事放ったらかし!”

なんて言われた過去を思い出す。


「あいつはそんな風に言ったりしないと思うんだけどな」

待っても待っても鳴らない携帯をソファーに放り投げ天井を仰いだ。

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