不器用なフクロウ
「ここの棚はどの辺まで商品入れ替え進んでるんですか?」
売り場の主任と話をしている岩城さん。
わたしは岩城さんに付き添いながら、販促物が指示通りに展開されているかを見て回った。
大体の売り場は指示通りに展開しているが、一部の売り場では雑に扱われていたりして、少し複雑な気持ちになった。
全部の売り場を見て回り、会社に戻ったのは午後2時を過ぎてからだった。
まだお昼を済ませていなかったわたしたちは、部署に戻る前にランチをすることにした。
「朝永さん、何食べたいですか?」
「んー、何かなぁ~」
「いつも米原さんとは、どこのお店で食べてるんですか?」
背の高い岩城さんは、少し腰を屈めてわたしの顔を覗き込むようにして言った。
わたしは戸惑いながらも、とっておきのお店の場所を言ってはいけないと思い「それは秘密です!」とわざと大袈裟に言ってみせた。
「えー、気になるなぁ。米原さんとの秘密があるなんて、ズルいです」
「じゃあ、わたしじゃなくて米原くんに聞いてみたら?」
「僕が聞いて教えてくれるわけないじゃないですか」
まぁ、確かにそうかもしれない。
そんなこんなで、わたしたちは近くのラーメン屋さんへ行った。
2時過ぎということもあり、待ち時間があるほど混んではいなかった。
「朝永さんってラーメン食べるイメージないです」
「え、そうですか?ラーメン好きですよ」
「そのギャップ良いですね」
爽やかな笑顔でそう言う岩城さん。
岩城さんに褒められると、何だか妙に照れてしまう。
照れると何も言い返せなくなるわたしは、笑って誤魔化したのだった。