不器用なフクロウ
米原くんと東さんは、東さんからの告白により交際が始まったらしい。
告白をされた時、米原くんは東さんのことが好きでもなく嫌いでもなかった。
付き合っていくうちに好きになるかもしれない。
そう思い付き合い始めたが、米原くんの中に「好き」という感情はなかなか湧かなかった。
その感情が湧かないが為に、米原くんは東さんに触れることはなかった。
そのことを東さんは不満に思い、気持ちをぶつけてきたようだが、米原くんは謝ることしか出来なかったようだった。
それがきっかけでギクシャクするようになり、米原くんから別れを切り出した。
人を好きになれない。
相手を幸せにすることが出来ない。
相手を傷付けてばかりの自分。
そんな思いからたくさんお酒を飲んでしまい、今日は二日酔いで出社してきたというわけだ。
今まで付き合ってきた人も同じ理由で別れてきていて、どの付き合いも長続きはしなかったと米原くんは言った。
「ダメな男ですよね、、、俺って、なんでこうなんだろ」
無理に作る悲しげな微笑みがわたしの胸をキュッと締め付ける。
米原くんは指で鼻先を撫でて俯いた。
指で鼻先を触るのは、米原くんの癖。
仕事でミスをしたあとなんかに何度か見たことがあった。
きっと、悲しい感情を隠そうとしている時に無意識に出しているサイン。
わたしは「ダメなんかじゃないよ」と言った。
自分だって傷だらけなくせに、何を言ってるんだろうと思った。