空を見上げて
二ヵ月後、完成した。
初めて書いた長編小説。
恍惚感が全身を駆け巡る。
ストーリーは、私の実体験を大げさに書いたものになった。
満たされた。
心の底から。
物語の中でなら、私はヒロインになれる。
名前は自分と全く違うものだった。
それでも、満足していた。
いや、自惚れていたのかもしれない。
私は、自分に重ねたヒロインに酔っていたのだ。
恥ずかしかった。
だけど、心地よかった。
読んでいく人が増えるにつれて、私は心酔していく。
それはみっともない事のように思える。
だけど、私はその快感が欲しくて、今日も小説を書こうと携帯を開くのだった。