二番目でいいなんて、本当は嘘。
「桐生社長が、なかなか首を縦に振ってくれなかったんですよね。最後まで面倒をみれるのか、飼育費用のことはわかってるのかって、しつこく念を押されて。そう言われると、逆に燃えるというか。僕も彼女も、必死で猫のことを勉強しました。それこそ彼女なんか、講習を受けてペットシッターの資格まで取ったくらいですよ」

すると桐生社長が、

「猪狩にそこまでされたら、イエスと言う以外ないですからね。でも、川谷さん経由で貰い手が決まっていたら、運が悪かったということで諦めてもらうつもりでした」

「タイミングがよかったですね。これもきっと、縁なんだと思います」


仔猫の引き取り手がなかったら、自分で飼うつもりだった。
でも、そう言い出す前に、猪狩さんに手を挙げられてしまった。

いちばん欲しいものは、絶対に手に入らない。

それもまた、きっと私の運命なのだと思う。
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