二番目でいいなんて、本当は嘘。
顔を上げて桐生社長を見ると、やさしい笑顔がそこにあった。

「もっと自分に素直になっていいんですよ。未央さんは最初からだめだと諦めてしまって、相手に譲ってしまう。戦わず、すぐに守りに入ってしまう。前の職場の恋人だってそうだったんでしょう?」

「え、社長、なんでそれを……」

すると桐生社長は、ふたたび私の体を引き寄せた。
社長の体が、さっきよりも熱くなっている気がする。

「……あの日の夜、あなたはとても傷ついていた。淋しい、悔しい、ひとりでいたくない。そして、僕にそばにいてほしいと言いました。僕は、そんなあなたが愛しくてたまらなくなった。だから、あなたを抱いた」

「うそっ!」

慌てて桐生社長の腕から逃れようとしたけれど、力強い腕は私を離してくれない。

「私、他人にそんなこと言ったりしません!」

「じゃあ、僕があなたの弱い部分を見た唯一の人間ということですね」
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