二番目でいいなんて、本当は嘘。
「……桐生社長が、欲しいです。あの日の夜みたいに、つらいことも、悲しいことも、すべて洗い流してほしい」

言ってしまってから、体が熱くなる。

本心をさらけ出すということは、なんて勇気の要ることなのだろう。
でも、それが私の偽らざる気持ちだ。

「わかりました」

社長の声がやさしくて、私の目からふたたび涙があふれだした。


「今からうちに来ますか? なんならシズクも連れて行きましょう」
「はい」

私は桐生社長の胸の中で、小さくうなずいた。

弱くて情けないありのままの自分を、受け入れてくれる人がいる。
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