二番目でいいなんて、本当は嘘。

「なにやってんの。早く入ってきなよ。今日はお鍋だよー」

玄関先でバタバタしている私たちに業を煮やしたのか、居間で待っていたもう一人の女性が迎えに来た。

「ただいま、すずた～ん」
「やめて、その呼び方！」

島本すずは、投げキッスをしてくる猪狩さんを怒鳴りつけた。

「いいじゃんか。社長公認の仲なんだからさ～」
「だから、人前ではダメだっていつも言ってるでしょ！」

抱きしめようとする猪狩さんの腕をかわしながら、すずは私と薫さんの存在に気が付き、顔を真っ赤にした。

「あ、あんたたちも玄関先でいちゃいちゃしてないで、早く入ってきなよ！」

ぷんぷんしながら背中を向けるすずを追いかけるように、猫を抱えた猪狩さんが「お邪魔しまーす」と頭を下げて中に入っていった。