二番目でいいなんて、本当は嘘。
慌ただしかった玄関が、急に静まり返る。
祖父が亡くなってからずっと、我が家はシズクと私だけだった。
こんなふうに賑やかな日々がやってくるなんて、まったく予想外のことで。
「薫さん……えっと、桐生社長も早く中に……」
しどろもどろに対応する私に、薫さんはにっこり笑いかけた。
「今さら取り繕っても仕方がないので、薫さん、でいいですよ」
「あ、はい。薫さん」
あらたまって見つめ合うと、急に照れくさくなる。
「……いいにおいですね。今夜は鍋物ですか?」
「鴨をいただいたんです」
「それは楽しみだ」
薫さんは靴を脱いでスリッパを履いたあと、私を抱き寄せ、「ただいま、未央さん」と言って、額に小さくキスをした。
祖父が亡くなってからずっと、我が家はシズクと私だけだった。
こんなふうに賑やかな日々がやってくるなんて、まったく予想外のことで。
「薫さん……えっと、桐生社長も早く中に……」
しどろもどろに対応する私に、薫さんはにっこり笑いかけた。
「今さら取り繕っても仕方がないので、薫さん、でいいですよ」
「あ、はい。薫さん」
あらたまって見つめ合うと、急に照れくさくなる。
「……いいにおいですね。今夜は鍋物ですか?」
「鴨をいただいたんです」
「それは楽しみだ」
薫さんは靴を脱いでスリッパを履いたあと、私を抱き寄せ、「ただいま、未央さん」と言って、額に小さくキスをした。