二番目でいいなんて、本当は嘘。

「仕事は忙しいけど、オフィスに人を増やすのは嫌なんだよね～」
とすずは言う。

どうやら、信用できると思った人しかそばに置きたくないらしい。

「でも、未央ちゃんひとりで仕事をこなすのは大変そうだよ」

猪狩の言葉に、すずも頭を抱える。

すると、薫さんが小鉢と箸をテーブルに置き、背筋を伸ばして姿勢をあらためた。

「じつは、このオフィスの、正式な分社化を考えているんです」
「分社化？」
「ええ。今はＵＮＩＸの別室という形になっていますが、独立させようかと思って」

その話は猪狩も聞いていたようで、詳しい説明をしてくれた。

「これまでも、遠隔地に住んでいる有能な人材を活用できるように、サテライトオフィスを展開していくプランはあったんです。今回のふたりの仕事をモデルケースにして、どのように事業展開していけばいいか、だいたいの案が固まりました。次の会議で提案して、承認を得られれば会社発足です！」