二番目でいいなんて、本当は嘘。
「私、こうして薫さんの隣にいても、いいんでしょうか」

自信がなくて、ついそんな言葉が出た。
すると、つないでいた薫さんの手がぴくりと動いた。

「……どういう意味ですか?」

その声は、いつもよりも少し低く、かすれていた。
私は自分自身を勇気づけるように、つないだ手を強く握りなおす。

「薫さんは大きな企業の社長だけれど、私は普通の人間です。あなたに存在に気づいてもらえただけで奇跡なのに、こうして恋人ととして傍にいさせてもらっている。身の丈に合わないことをしているんじゃないかと思って」

ただひたすら、ここにある幸せに浸っていればいいのに、胸の奥から顔をのぞかせた不安が、たちまち心を覆っていく。
ふわふわした夢に包まれながら、ふとした瞬間に「これは夢なんだ」と現実に戻ってしまう。

そんな自分を、現実的で真面目だと思いつつ、愚かだとも感じる。
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