二番目でいいなんて、本当は嘘。
「ごめんなさい……なんでもないです」

欲しいものを欲しいと言わなければ、それは手に入らない。
薫さんはそう言ったけれど、言葉にしてしまったら壊れてしまうものもあるのではないか。

これ以上のなにを望むというのだ。
結婚?
そんなシンデレラストーリーを夢見る年は過ぎている。


先のない関係だとはわかっている。
けれどもう少し、このぬるま湯のような関係に浸っていたい。

これは、期限付きの魔法の時間なのだ。
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