二番目でいいなんて、本当は嘘。
「未央さん、僕はあなたを愛しています」

薫さんが私を引き寄せ、耳もとで囁いた。

「この言葉だけじゃ、不安ですか?」

少し苦しそうに、でもはっきりと、彼は気持ちを口にした。


心の中を覆っていた不安が、その言葉を聞いた途端に消えた。
どれだけ自分は、ちゃんとした言葉を欲しがっていたのだろう。

「私も、薫さんを愛しています」

言葉にしたら、波打っていた心がぴたりと鎮まった。

すずのお母さんが、薫さんの父親のことを諦められなかった気持ちがよくわかる。
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