二番目でいいなんて、本当は嘘。
「私、ある人の子供を妊娠したんだ」
「ある人って、薫でしょ」

すずは笑った。

私は、否定も肯定もしないでおいた。
薫さんに迷惑をかけるわけにはいかない。

それに、父親が誰かなんてどうだっていいのだ。
この子は、私が授かった子なのだから。


「薫と結婚なんかできやしないんだから、堕ろしたほうがいいんじゃないの?」

「ううん、産むことにした」

「夢と理想だけじゃ、子供は産み育てられないよ」

「だから島本さんの力を借りたいの。あなたは夢と現実の違いを嫌と言うほど知ってるでしょ? 苦境を生き抜く術もね」

「私を利用しようっていうわけね」

おもしろそう、とすずは笑った。
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