二番目でいいなんて、本当は嘘。
「どうかしましたか?」

さすがに私の様子を変だと思ったのか、薫さんが聞いてきた。
私は急いで涙を拭いて笑った。

「……別れがつらくて」
「僕もです」

薫さんは、テーブルの上に載せていた私の左手に触れた。そして、薬指をゆっくり撫でながら言った。

「ここに指輪をはめてあげられなくてすみません。でも、僕はいつでもあなたを思っています」
「私も、これから先ずっと、恋するのはあなただけだと思います」
「未央さん……」

薫さんは、私の手をぎゅっと握った。
私は右手を、その上に重ねた。
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