二番目でいいなんて、本当は嘘。
「あなたにとって、恋と愛とは違うんですか? 僕には恋をしているけれど、愛する価値はないと」
「そう取ってもらっても構いません」

薫さんは、とても傷ついた顔をしていた。

それでいい。
いっそのこと、私のことは憎むくらいでいてほしい。


私は立ち上がってバッグを掴み、薫さんに背を向けた。

「未央さん?」

「私はいつか、あなたの枷になる。それが嫌なんです。だから、会うのはこれきりにしてください」

「それは、僕と別れたいということですか? 僕と別れて、ほかの誰かと一緒になりたいということですか?」

「……ごめんなさい」


私は逃げるようにテーブルを離れた。

薫さんがもう一度私の名前を呼んだ気がしたけれど、私は振り向かなかった。
彼がどういう表情をしているか、確かめるのが怖かった。
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