二番目でいいなんて、本当は嘘。
「さて、お昼の支度をしますか」

窓を閉め、背を向けようとすると、「おーい」と声が聞こえた。

もう一度窓の外を見る。
すると、パーカーを着た男の子が、こっちに向かって手を振っていた。
同じ寮に住んでいる、小学校5年生の翔馬(しょうま)くんだ。

「お母さんが、一緒にご飯食べないかってー」
「はーい! 喜んでお邪魔します!」

ほっぺを真っ赤にした男の子は、元気に手を振りながら建物の裏の方に走っていった。


身支度を整えて、サンダルを履いて玄関を出る。
翔馬くんの部屋は、2つ隣だ。

玄関が開けっぱなしにしてあり、部屋の中から赤ん坊の声が聞こえる。
3か月前、翔馬くんには妹ができた。
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