二番目でいいなんて、本当は嘘。
そのあとも、ご夫婦はなにかにつけて私の意見を聞いてくる。

「じつは、もうすぐ子供が生まれる息子夫婦に、この家を使ってもらおうと思っていてね」
「まあ、そうなんですか! じゃあ、自分の個人的な意見で言わせてもらえば……」

私は、自分が子供と一緒にここに住むことを想像しながら、思いついたことを話した。


段差はなるべくなくしたほうがいい。
サンルームも欲しいが、日本家屋にサンルームはどうなのか。
それならば、少し広めに縁側を作ったほうがよいのではないか……


奥様と私とのやり取りを、ご主人は黙って見守っている。
だが、しばらくして彼は庭を眺めがらポツリと呟いた。

「こういうことは、本当なら夫婦ふたりで決めるべきなんだろうねぇ」

住むのは息子夫婦なのに、自分たちが先走ってあれこれ決めてしまうことに引っかかりを覚えるらしい。
< 220 / 250 >

この作品をシェア

pagetop