二番目でいいなんて、本当は嘘。

「生まれてくる子供のために、家族みんなで悩みながら準備するのも、楽しみのひとつですもんね」

私が言うと、奥様が「そうだわ！」と手を叩いた。

「本人もこれから呼びましょう！」
「いや、でも今は仕事中じゃないのかね？」
「人生を決める大事なことなんだから、仕事なんか二の次よ。いつまでもぐずぐずしていたら、周りになんでも決められてしまうことを、あの子もそろそろ学ばないと」

そう言うと、奥様はバッグの中からスマートフォンを取りだし、呼び出しボタンを押してからご主人に手渡した。
スピーカー設定にしてあったようで、コール音がこっちまで聞こえてくる。

「あなたの言うことなら、あの子だってきっと聞きますよ」
「しかし、こんなだまし討ちみたいなやり方はねぇ……」
「いいから、いいから」

ご主人がしぶしぶそれを受け取ると、ちょうど電話の相手が出た。