二番目でいいなんて、本当は嘘。
すると、業を煮やした奥様が、電話に向かって言った。

「川谷さんのお宅よ。おうちを見せてもらっていたの」
「川谷さん……って、まさか、うちの社員の川谷未央さんですか!?」

さすがに元恋人とは言わなかったが、声には焦りの色がにじみ出ていた。


「今すぐ行きますから、そこを動かないでください!」

そして通話が切れた。


「ずいぶん慌てていたわねえ」

奥様――薫さんのお母様が、くすくすと笑う。

私はどうしていいかわからず、ぎゅっと目をつぶった。
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