二番目でいいなんて、本当は嘘。

再会

するとすぐに、ピンポンとチャイムが鳴った。

「あら、ずいぶん早いこと。私が出るわね。未央さんは身重なんだから、ここで待っていらして」

声を出すことができなくて、私はただ、こくんと頷く。


不動産屋も「電話をかけに行く」と言ったきり、姿が見えなくなった。
部屋の中は、私と薫さんのお父様のふたりきりである。

私は居住まいを正した。

自分の立場が微妙なものだということはわかっている。
しかも、誰が見ても妊娠中だということが明らかなお腹のふくらみ。

自分の言動次第で、薫さんの立場も危ういものになってしまう――
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