二番目でいいなんて、本当は嘘。
すると彼は、静かに口を開いた。

「すずからあなたの話はよく聞いていたよ。よく気が付く人で、仕事もできるパートナーだと。あの子がそこまで信頼を寄せるんだから、たいしたものだ」

「あ、ありがとうございます」


そういえば目の前にいる人は、薫さんの父親でもあるけれど、本当に血のつながりがあるのはすずなのだ。
今の言葉を聞く限り、親子関係はそう悪くはないらしい。


「清香のところに行っていたんだってね。薫はすいぶんあなたのことを探したようだよ」

「え……？」

なんのことかわからず、私は視線を上げて彼の顔を見た。
薫さんのお父さんは、にこにこと優しそうに笑っている。

「もちろん家内も知っている。なにしろ、清香から未央さんのことを聞きだしたのは家内なんだから」


奥様と清香さんは、いわば正妻と愛人の立場だ。

わざわざ連絡をとり、奥様は私のことを聞きだした。
そのことに、なにか因縁めいたものを感じた。

どう返事をしていいかわからず、私は黙ってうつむく。
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