二番目でいいなんて、本当は嘘。
気が付くと、自分の家とは違う場所にいた。

いや、この内装には見覚えはある。
白くて高い天井。丸いシーリングライト。

私がかつて、人生で一番幸せな日々を過ごした場所。


夢の続きを見ているのだろうか。
現実という絶望に立ち向かわなければならない私が、最後に見る幸せな夢。


私の隣には、やさしい旦那様の姿があって。
お腹の中にはその人との子供がいて。
ご両親に祝福されながら、家族で住む家の未来予想図を作って。
傍らには、シズクと、仔猫たちがいて――


でも違う。
それは叶わない夢だ。

薫さんのご両親が見ていたのは、薫さんと結婚相手がこれから住む家であって、私のものではない。
あの家にも、薫さんの傍にも、私の居場所はもうないのだ。
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