二番目でいいなんて、本当は嘘。
バスルームの向かいにある寝室のドアを開ける。
社長の言ったとおり、私の荷物はひとまとめにして、ベッドサイドにある木の椅子の上に置かれていた。

ベッドは乱れたままになっている。
私はなるべくベッドに視線を向けないように意識ながら、荷物を抱えて部屋を出ようとした。

ところが、誰かが私の行く手を阻んだ。


「あんな目で見つめられたら、黙って帰せなくなるじゃないですか」

いつの間にか背後に桐生社長が立っていた。


「きゃっ」

桐生社長は私をベッドに押し倒し、覆いかぶさってきた。

「嫌なら、抵抗してください」

顔の両側に手をつき、桐生社長は私の上から表情をうかがってくる。


ほんの数秒が、何時間にも感じられた。
答えを言わないのを、桐生社長はイエスの意味だととらえたらしい。

ゆっくりと顔を近づけ、夕べと同じように、彼はやわらかく私の唇にキスを落とした。
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