二番目でいいなんて、本当は嘘。
100メートルほど歩いて、自宅にたどりつく。
門をくぐると、キンモクセイの甘い匂いに包まれた。


そういえば、日本にあるキンモクセイの木は、すべて雄株だと聞いたことがある。
だから花は咲いても、実がならない。

遠い昔、異国から運ばれてきたときに、匂いのよい株だけが選ばれたという。

雄株しかないキンモクセイは、きれいで甘い香りはするけれど、ただの観賞用。
人間の身勝手さに翻弄された、孤独な存在。


「でも、はじめから将来なんかいないとわかっていたほうが、割り切れるのかな……」

そんな言葉が出てきたのは、昨夜送られてきた1件のメッセージのせいだろう。
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