二番目でいいなんて、本当は嘘。
IT係の専門学校を卒業した私は、就職氷河期の激戦を勝ち抜き、コンピュータを扱う中堅の企業にSEとして入社した。

そこで、同期の営業社員、竹内一紗(たけうちかずさ)に出会った。


一紗は背が高く、端整な顔立ちをしていた。
いつも笑顔で人当たりがよく、営業成績もよかった。
そんな一紗を、私は最初から好きになった。

自然と目が彼の姿を追いかけ、彼がいつも好んで飲んでいる缶コーヒーの銘柄を、指が勝手に選んでしまう。
同期の飲み会があると聞けば、お金が多少ピンチのときでも、無理して参加した。

一紗は自分の魅力を十分に知っていた。
たぶん、私が彼のことを好きだということにも、最初から気付いていたと思う。
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