二番目でいいなんて、本当は嘘。
10階に到着し、私を含む数人がエレベーターから吐き出された。

一緒にエレベーターを降りた若い男性は、軽く会釈をすると、淡々と自分のオフィスへ向かって歩いていく。

胸につけられたIDカードを見れば、同じ会社の人間だと分かる。
だが、顔を覚えきれていないのは、私がまだ入社したてだからという理由だけではないと思う。

『UNIX』という同じ組織で働いていても、ほぼ違う会社と言っていいくらい、部署が違えば接点がない。

〝まとまり〟という意味のUNITと、〝混合〟のMIX。
それらを併せて社名にしたのだと、以前祖父の寿司屋のカウンターで、桐生社長が言っていた。
< 48 / 250 >

この作品をシェア

pagetop