二番目でいいなんて、本当は嘘。

午後4時半の出来事

「うそ! データが全部消えちゃってる!?」

時間は午後4時半。
終業まであと少しという頃、斜め向かいのデスクから響いてきたのは、正社員である島本すずの素っ頓狂な悲鳴だった。


おそらく、私とそれほど年は変わらないだろう。
背中まである艶やかなチョコレート色の巻き毛を揺らし、夕方になってもファンデーションは崩れず、リップは落ちない。

学生時代だったら、スクールカーストの上位にいそうな女子だ。
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