二番目でいいなんて、本当は嘘。
「どうしよう、これからデートがあるのに~!」

すずは仕事のあいだもしょっちゅうオフィスを抜け出し、給湯室やトイレでスマホいじりをしていた。
時間内に仕事が終わらないのも当たり前だろう。


島本すずは、ほかの社員に声をかけはじめた。

「櫻井さん、ちょっと見てもらえますかあ?」
「いや、僕はもうすぐ打ち合わせの時間で……」

「小柳さん、こういうの得意でしたよね?」
「ごめんなさい、私も急ぎで終わらせなきゃいけない仕事があって」

「木暮さん……」

ディレクターの木暮は無言で彼女を睨む。
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