二番目でいいなんて、本当は嘘。
私は小窓を開けて、
「10階の『UNIX』で働いている川谷です」
と申し出た。

すると、まんまるい顔をした中年の警備員が、にこやかな顔で手招きした。


小窓のすぐ横にあるドアから、「失礼します」とおそるおそる中に入る。
すると、奥にあったパーテーションの影からひょいっと顔を出したのは、桐生社長だった。


「すみません。ちょっとだけ、時間をもらえませんか」
「あ、はい」

と答えつつ、私は警備員室の壁に掛けられている時計を、ついチラリと見てしまう。
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