二番目でいいなんて、本当は嘘。
そのとき、桐生社長の背後から、「みゃあ」という声が聞こえた。
そして、なにか白い物体が床を這ってくる。

「猫?」

しかも、とても小さな、よちよち歩きの仔猫だ。

「あ、こらこら」

桐生社長は白い仔猫をひょいと両手で抱き上げ、
「ほかの人に見つかってしまっては大変だからね」
と目線をあわせてたしなめた。

その姿は、まるで小さな子供を叱るときのようにやさしく、思わず頬がゆるんでしまう。


よく見ると、ダンボールの中からぴょこぴょことほかの仔猫も顔を出している。
1、2、3……桐生社長の手のなかにいる仔猫も併せると、全部で4匹いるらしい。

さっき電話越しの声が慌てているように聞こえたのは、きっとこの子たちのせいなのだろう。
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