二番目でいいなんて、本当は嘘。
「川谷さん、じゃないですよね」
「え?」

何を聞かれたのか、とっさにわからなかった。

「あ、いや、僕が猫好きだということを知っている人間は、それほどいないはずなので……」

桐生社長は、私を猫を捨てた犯人だと思ったらしい。


「……私じゃ、ないです」

思わずむっとしてしまったのが表情に出てしまったのだろう。

桐生社長は
「すみません、心あたりは川谷さんくらいだったんです」
と困ったように目を泳がせた。
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