二番目でいいなんて、本当は嘘。
お茶を淹れながら、私はドキドキする胸をなんとか落ち着けようとした。
同じ屋根の下に社長がいると思うと、緊張が止まらない。


とっさに家に上げてしまったけれど、不用心だと思われただろうか?
でも、私の中で桐生社長は、すでに「信用できる人」のカテゴリーに入っていた。

付き合ってもいないくせにベッドをともにするなんて、とんだオオカミだけれど。

それでも、「この人はいい人だ」と自分の本能が告げてくる。


むしろ、信用できないのは自分自身だ。
雰囲気に流されて、また不毛な恋に落ちてしまうのではないか。
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