二番目でいいなんて、本当は嘘。
「そういえば、お詫びしたいことってなんですか?」

もうだいぶ夜も遅い。
仏前にある祖父の写真から、「年頃の娘が」と睨まれているような気がしていたたまれず、私は自分から話を切り出した。

「猫たちを預けたときのことです」

帰り際に呼び出されたことだろうか。
それとも、猫を預かると申し出たこと?

「あ、それはただのおせっかいです。シズクも平気みたいだし、それに、秘書さんにもよくしていただいたし」

すると、社長の表情がすっと曇った。

「……自分で送って行けばよかったと、後悔しました」
「え?」
「いえ、なんでもありません」

桐生社長は、いつもの柔和な笑顔に戻った。
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